今年(平成26年)は、西宮山口でホタルが大量発生しそう
(ホタル博士と言われる地元の本田三延さんの話)
自然豊かな西宮市山口町に流れている「有馬川」と「船坂川」には、毎年、5月末から7月ごろにかけてホタルが飛び交います。
昨年(2013年)は、一番ボタルが5月12日に見られました。
ホタルの乱舞・有馬川1 | ホタルの乱舞・有馬川2 |
昭和30年〜40年ごろには農薬などの影響でホタルが減った 一時期がありましたが、最近はまた、少しずつ増え始めています。
地元、青少年愛護協議会の会長でもある本田さんの熱心な呼びかけに地元住民が協力して、ホタルが飛び交う時期には、有馬川緑道の一部の街灯を消灯するなど、地域ぐるみの保護活動がホタルの増加を促しているようです。
また、このホームページ西宮山口などのPRが功を奏し、テレビで取り上げられたり、市外から山口のホタルを見に来られる人々もあったりと、今後ますます来訪者が増えると思われます。
ホタルは、西宮山口の四季を彩る風物詩の一つです。
さくらやまなみバスに乗ってわたしたちのまち、西宮山口においで下さい。
(さくらやまなみバスの詳しいことは⇒こちら)
☆以下の内容は、山口のホタルの保護活動をされている、山口・船坂校区青少年愛護協議会・会長の本田三延さんからいただいた資料をもとに、編集部が作成したものです。
西宮山口のホタルの話
◇「蛍」の語源☛いろいろな説がある
火垂(ひたれ)る、火照(ひて)る、星垂(ほした)れる、火太郎(ひたろう)が変化したものではないかと言われている。
沖縄県ではホタルの呼び名がたくさんある。
ホタルの種類が多いこともあるが、たくさんの島があるから、同じ種類でも呼び名が違うこともある。
◇ホタルの種類☛日本には約50種類
ホタル科は世界中では約2700種類が見つかっており、日本には約50種類がいる。
暖かい地方に多くの種類が棲息している。
ベニボタル科にはホタルと名がつく種類が約85あり、形は大変似ているが全く光らない。
日本には幼虫の時代には光るが成虫になると光らないホタルが約20種類いる。
日本には学術的に珍しいホタルが3種類いる。
◇光るホタルの種類☛山口で見られるホタルはほとんどがゲンジボタル
- 全国で多く見られる光るホタルの代表はゲンジボタル・ヘイケボタル・ヒメボタルである。
- 有馬川、船坂川で見られるホタルはほとんどがゲンジボタルである。
- 6月末から8月中旬には一部でヘイケボタルが見られる。
- ゲンジボタルとヘイケボタルは頭の黒い点と帯で見分ける。
◇雌雄の見分け方☛飛び回っているのはほとんどがオス。
オスは腹の2節が光る。
メスは腹の1節が光る。
メスはオスより1.5倍から2倍、体が大きい。
飛び回っているのはほとんどがオスである。
メスは葉先で気にいったオスが来るのを待っている。
◇ホタルはなぜ光る?☛求愛のため・身を守るため
- オスとメスの求愛のため。
- 鳥などから捕食されないように身を守るため。
- 発光原理は解明されていてルシフェリン(発光物質)、ルシフェラーゼ(発光酵素)に生物固有のエネルギー貯蔵物質(アデノシン3リン酸 ATP:Adenosine Tri Phoshateと呼ばれる)、マグネシウムイオン、酸素が化学反応を引き起こして発光する。
- 発光は冷光と呼ばれ熱を発生しない。
- 以前は1グラムのルシフェラーゼを得るには10万匹のホタルが必要で抽出が困難な酵素であった。
- キッコーマンは大腸菌にルシフェラーゼ生成遺伝子を組み込み、培養することで量産化に成功し微生物の混入検出薬として「ルシフェールLUプラス」という商品名で販売している。★NASAでは宇宙ロケットでこれを他の星に送り込み生物の有無を確認しようとする壮大な計画がある。
◇ホタルは何を食べるのか?☛成虫は何も食べない。
成虫は何も食べない。夜露や川の水しか飲まない。
ゲンジボタルの幼虫はカワニナを食べる。
カワニナはホタルが幼虫になる頃に体の中で卵を孵化させ小さな稚貝を放出する。最終的に半年をかけて400以上産む。
ヘイケボタルの幼虫はタニシやモノアラガイを食べる。
陸生のホタルの幼虫はカタツムリを食べる。
◇ホタルの棲息条件☛カワニナが棲息していること
幼虫の餌となるカワニナが棲息していること。
大中小のカワニナが必要。
水がきれいな川であること。そうかと言って余りにもきれい過ぎてもいけない。
人間の生活が及んでいる場所が最適である。
川は常に水深浅く流れていることが必要(酸素が多く含まれている)で、淀んでいるのは不適。
川の周辺にホタルが休息できる樹木、竹薮、草等があること。
幼虫が「さなぎ」となれる土(中州)があること。
適度な暗がりがあること。
カワニナを食べる幼虫 | 松栄橋のカワニナ | 有馬川堰堤のカワニナ |
◇ホタルの一生☛幼虫は6回脱皮を繰り返す
- 完全変態で卵→幼虫→さなぎ→成虫
- 成虫のメスは500個から1000個の卵を何回かに分けて水辺のコケ等に産む。5月末~6月末
- 卵は約25日で孵化し幼虫は水の中に入る。6月末~7月末
- 幼虫は夜行性でカワニナを餌として食べる。
- 幼虫は6回脱皮を繰り返し成長し、翌年の4月中頃の雨の日に上陸する。
- 上陸した幼虫は地表から10cmくらい地中にもぐり、口から粘液を出し身辺の土を固め「土まゆ」をつくり「さなぎ」となる。
- 「さなぎ」は約40日をかけて成虫になる。
◇ホタルの発光間隔☛西日本のホタルはせっかちである
- 関東以北は、4秒。関西以西は、2秒(西日本のホタルはせっかちである。)
- 中部地方の一部では、3秒
◇ホタルの寿命☛3日から1週間
- 自然界では3日から1週間
- 人工飼育の場合は20日くらい生きるものもある。
◇ホタルの活動時間帯☛20時ごろ~21時30分ごろ☆数が最も多い
1回目:20時ごろ~21時30分ごろ☆数が最も多い。
2回目 :23時30分ごろ~01時ごろ☆ 1回目より少ない。
3回目 :夜明け前☆有馬川では見られない
◇うまいホタル観賞のポイント☛20時~21時30分
- 時期 5月末から6月中旬(冬の寒さの程度により変わる)
- 天候 晴または曇。風が強い日や月が明るい日は少ない。雨上がりは最良。
- 気温 やや高めの蒸し暑い日が最良。
- 時間 20時~21時30分
- 場所 人工の灯りが届かない暗がりが良い。
◇ホタルの敵☛人間による乱獲
- 幼虫は魚や鳥に捕まりそうになると体から白い液体を出して身を守る。
- 成虫はクモやコウモリの餌食になっている。
- 人間による乱獲。
◇有馬川・船坂川におけるホタルの保護☛平成8年(1996年)から
平成8年(1996年)から山口・船坂校区青少年愛護協議会が始める。
川沿いの樹木やフェンス、橋の欄干を利用したホタル保護ポスター(山口小学校・北六甲台小学校)の掲示。
山口中学校のトライやるウィークの受け入れ先となり手伝ってもらっている。
※下の写真は、2013年の作業の様子です。2013年はポスターが270枚も集まりました。
- 有馬川緑道の水銀灯の消灯を西宮市に要望。地域には回覧板を回し消灯の意義を告知。
- 川原の除草作業の時期を延期→西宮市、船坂川→兵庫県
- ホタル発生数の記録と事故及び捕獲防止のための巡回。
- ホタルウォークラリーの開催。
- ホタル最盛期の週末に山口発のさくらやまなみバスの臨時便運行。
- 地域の小学校や公民館でホタル講座を開講しホタルへの理解を深めている。
- 「ホタルまっぷ」を作成し山口支所や本庁ミニ情報コーナーに置く。
- 山口センター総合受付前に日々のホタル発生状況を等身大の地図上に表示するようにした。(平成24年度から)
- さくらFMに定期的にホタル情報を提供する。
- 地域のホームページ「西宮山口」でホタル情報を発信する。
- 「有馬川クリーン作戦」で川原及びその周辺のゴミ拾い。
- 阪神高速道路北神戸線の中野高架橋の建設工事に伴う協議 ①橋脚掘削に伴う汚濁水の排出による協議 ②道路照明灯設置による光公害対策の協議
- 船坂川の河床堆積土の搬出に伴う協議
◇過去18年間の活動から見えてきたこと(山口・船坂校区青少年愛護協議会・会長の本田三延さん)
シーズンには大勢の見物人が来るようになった。
ホタルの発生数の増減には周期があること。
原因はカワニナの増減で、ホタルと同様の周期がある。
有馬川にホタルが多く発生するのは有馬温泉の関係で川の水が塩分を含んでいるからで、カワニナの敵であるヒルが少ないのが原因と考えられる。ヒルは塩分に弱い。
地域住民のホタルに対する理解と自然環境保護への心が芽生えた。
◇「水・土壌環境保全活動功労者表彰」を受賞
山口・船坂校区青少年愛護協議会が、環境省の平成25年度「水・土壌環境保全活動功労者表彰」を受賞しました。 この制度は、地域における河川等の水質浄化、生活排水対策等の普及啓発、水生生物の調査などを通じ、水・土壌環境の保全に関し顕著な功績のあった団体及び個人を表彰するものです。
長年にわたりホタルの保護活動を通して環境保護に取り組んできた活動が評価され今回の受賞となりました。
”ホタルの保護活動19年” で活動内容を知ることができます。
ホタルを捕まえないで。ホタルの寿命は短いです。自然の中で鑑賞しましょう。
懐中電灯をホタルに向けることや、カメラのフラッシュはやめましょう。
道路に駐車したり、大声を出したりすることはやめましょう。