名来のだんじりは、山口地区では唯一の「舁檀尻(かきだんじり)」です。
重さが約1トンあるだんじりを42人で担ぎます。
だんじりには、色が赤・黒・赤の三重の布団を台の上に載せ、中央には大太鼓を据えつけます。
さらにその周りに小学2年生の男子が4人乗り込みます。
子供たちは、約1ヶ月間、太鼓の練習に励みます。
その子供たちが叩く威勢のいい太鼓のお囃子や大きな掛け声に、担ぎ手も「よーいとさー!」と掛け声を合わせ、宮前通り一杯に右や左に蛇行しながら練り歩きます。
大鳥居前の宮前坂を駆け上がったり、駆け下りたりを繰り返したあと、クライマックスでは、太鼓がより一層激しく打ち鳴らされ、囃子も賑やかに境内に向かいます。
指揮者の合図で、駆け足太鼓のリズムに合わせて宮前坂を一気に駆け上がります。
境内中央まで進み、一挙にだんじりを高々と差し上げてから地に落とし、宮入の締めくくりとなります。
祭りの装束は、古くから上は白の長袖シャツ、下は白のネル地の腰巻を巻き、黒の帯で締めるという、至って簡素なものでした。
昭和59年から、背に祭礼と赤く染め抜いた青地の袢纏(はんてん)を白シャツの上に着用していましたが、平成11年からは白と黒を基調にした法被(はっぴ)に変更しました。
黒地の背に赤色で「名来」と書き入れ、裾と袖には江戸時代に名来の領主であった徳川御三卿のひとつである田安(たやす)家の「田」と、農業に欠くことのできない水を運んでくれる「川」をモチーフにした柄(がら)を白抜きで、そして襟には「名来自治会」と「御祭礼」と記されています。