有馬線を走る蒸気機関車(3050形)
・・・ 駅前橋の名が残る駅舎跡(有馬口駅)
平穏なこの山口に汽車が走っていました。101年前の大正4(1915)年4月に、有馬温泉への湯治客や振興策のために三田駅から有馬温泉を結ぶ民間の軽便鉄道が開通。4年後、政府が買収し「国鉄有馬線」が誕生しました。
三田から有馬までの約12キロ。所要時間は約30分余り。3つある駅のうち、山口地域には下山口の光明寺下に「有馬口駅」ができました。
汽車便は大阪への野菜売りに利用され、野良仕事の大人たちは畑の中をのんびり走る汽車を見て「昼や、ご飯にしよう」と時計がわりにも使っていました。戦争が激化した昭和18(1943)年、国策の名で廃線を強行。わずか28年でその姿を消しました。
【宮っ子(山口版)やまぐち異聞録より】