昔の街道を伝える船坂の古い道標
船坂内の県道51号沿いに立つ「善照学園」の看板の向かいに、古い石の道標がポツンと立っています。
道標には「右西宮・左大阪宝塚道」と刻まれ、裏面には「大正4(1915)年2月定之」と刻んであり、約100年前に設置されたものです。この道標は以前、太田川源流に架かる「戎橋」付近に立っていましたが、県道82号線の拡張に伴い、昭和30(1955)年代に現在の所へ移設されました。
道標を右にたどると船坂峠を越えて鷲林寺集落へ下る西宮道があります。西宮道は昔、丹波地方の杜氏たちが酒造りに通った道で、船坂川沿いで寒天作りが盛んに行われていました。道標を左へたどると座頭谷~生瀬~小浜に抜ける湯山街道(有馬街道)を経て京都・大阪へ出ます。
このように「戎橋」に立っていた古い石の道標は、丹波道・西宮道と湯山街道が船坂で十文字に交差していたことを示し、船坂の道が歴史的に重要な街道であったことを伝えています。
【宮っ子(山口版)やまぐち異聞録より】