明徳寺境内に地蔵尊が祀られています。古くは、上山口地区の南端、字才ノ神(すみれ台住宅団地の入り口付近)にあり、道祖神(サイノカミ)を兼ねていたようです。それが、いつ頃か定かではありませんが当寺の境内に移されたとされています。 明治43年1月の寄附帳(明徳寺蔵)に、「明徳寺境内 歳神地蔵尊」の記載があることから、当時にはすでに境内に祀られていたと考えられます。
また、御和讃に「きみょうちょうらい やまぐちの さとにさきたる なでしこの はなにたとえて おさなごの よなきをすくい たもうなる・・・なおもたいひの ゆらいあり たづねてみれば そのむかし こうとくさんのう まっしまして こうちのさとに かりみやい みかどのぎょかん あさからず さいのかみとの なをたもう なむありがたや じぞうそん なむやよなきの じぞうそん ありがたや めぐみをよもに おさなごの よなきをすくい たもうみほとけ」と詠われています。
特に、幼児の夜泣きについては、治すお願いに地蔵尊にお詣りして、供えてある「松ぼっくり」を持ち帰って幼児の枕元に置いて念じると治るといわれています。夜泣きが治ると、新しい「松ぼっくり」を御供えして御礼詣りすることになっており、そのためお堂のなかには、「松ぼっくり」がたくさんあったようです。
往時は、8月24日の地蔵盆には、「家内安全・子孫繁栄」を祈って、幼児による詠歌踊りなどがあって盛大にお祭りが行なわれ、子供達の大きな楽しみでした。現在は、詠歌踊りはなくなりましたが、世話人がお祀りし、多くの人々がお詣りされています。